大阪のマンションは今が売り時?2026年秋の価格上昇・成約減から見る売却戦略


「大阪のマンション価格が上がっている」「今なら高く売れるのでは?」——最近、そのように感じている方も多いのではないでしょうか。
実際、2026年の大阪・近畿圏では中古マンション価格の上昇が続いています。ところが最新のデータを詳しく見ると、少し気になる動きがあります。価格は上昇している一方で、成約件数は減少しているのです。
特に大阪市では、2026年4〜6月期の中古マンション平均成約価格が前年同期比8.7%上昇した一方、成約件数は9.2%減少しました。
つまり2026年秋の大阪不動産市場は「高値を狙える可能性はある。しかし価格設定を間違えると売れ残る」という、売主にとって判断力が求められる市場になっています。9月は夏休みが終わり、年内の住み替えや来春に向けて不動産売却を考え始める方が増えてくる時期です。近畿レインズの最新データをもとに、2026年秋の大阪の不動産市場の実態と、これから売却を始める方が注意したいポイントを不動産売却の現場目線から解説します。
2026年秋、大阪の中古マンション市場で起きていること
まず近畿圏全体のデータで全体像をつかんでおきましょう。公益財団法人近畿不動産流通機構(近畿レインズ)が公表した2026年4〜6月期のレポートには、以下のデータが示されています。
4,967件
前年比 −4.8%
近畿圏
成約件数
3,286万円
前年比 +9.0%
近畿圏
平均成約価格
3,707万円
前年比 +18.8%
新規登録価格
(売出価格)
| 項目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 成約件数 | 4,967件 | -4.8%(2期連続減少) |
| 平均成約価格 | 3,286万円 | +9.0% |
| 成約㎡単価 | 48.25万円/㎡ | +7.8% |
| 新規登録価格(売出価格) | 3,707万円 | +18.8%(成約価格の2倍超のペースで上昇) |
出典:公益社団法人近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ)「近畿圏不動産流通市場の動向について(2026年4〜6月期)」2026年7月23日発表。
参照先:近畿レインズ 不動産市場動向 / 近畿圏不動産流通市場の動向について(2026年4〜6月期)
※本記事内の近畿圏・大阪市の中古マンションおよび中古戸建てに関する数値は、同資料をもとに不動産売却サポート関西が売主向けに整理したものです。
成約価格の上昇(+9.0%)は確かです。しかし見逃してはいけないのが、2期連続で成約件数が減っているという事実です。価格は上がっているのに、売れる件数は減っている——これが2026年秋の大阪・近畿圏における中古マンション市場の実態です。
📊 近畿レインズ自身のコメント(2026年4〜6月期)
「売出価格の上昇が顕著で、成約価格との乖離が拡大している。実需を踏まえた値付けの重要性が高まっている」——市場を運営する近畿レインズ自身がこのように分析しています。売主の期待価格と、買主が実際に出せる価格の差が広がっていることを意味します。
大阪市では「価格+8.7%、成約件数-9.2%」
近畿圏全体の数字は「大阪市内の話」とは少し異なります。大阪市だけを見ると、この傾向がさらに鮮明です。
1,356件
前年比 −9.2%
大阪市
成約件数
4,523万円
前年比 +8.7%
大阪市
平均成約価格
74.30万円/㎡
前年比 +6.0%
大阪市
成約㎡単価
成約価格は8.7%上昇している一方で、成約件数は9.2%も減っています。この数字が意味することを考えてみてください。売れた物件の価格は高くなっているが、売れる件数そのものは減っている。つまり「売れた」物件と「売れなかった」物件の差が広がっているということです。
大阪市内のマンションだからといって、どんな価格でも売れる市場ではありません。「価格が上がっているから、少し高めに出しても売れるだろう」——この考え方には注意が必要です。
「売出価格」と「売れる価格」の差が広がっている
今回のデータで最も注目すべきポイントが、売出価格と成約価格の乖離拡大です。
■ 近畿圏 中古マンション 前年同期比の上昇率比較(2026年4〜6月)
(実際に売れた価格)
(売出価格)
※棒グラフはイメージ。成約価格に対して、新規登録価格の上昇ペースが約2倍となっています。
成約価格の上昇率が9.0%であるのに対して、売主が設定する新規登録価格の上昇率は18.8%。「売りたい価格」は「実際に売れた価格」の約2倍のペースで上がっています。
⚠️「売りに出ている」と「売れた」は全く違います
不動産ポータルサイト(SUUMO・アットホームなど)を見て「同じマンションの別の部屋が5,000万円で売りに出ているから、うちも5,000万円くらいだろう」と考えるのは危険です。5,000万円で「売りに出ている」ことと、5,000万円で「売れた」ことはまったく別の話です。ポータルサイトに掲載されている物件の多くはまだ成約していません。価格設定の根拠にすべきは「売出価格」ではなく「成約価格」——実際に売買が成立した価格です。成約価格は一般の方には公開されていないため、不動産会社に確認する必要があります。
売主側の期待価格が高くなっているということは、それだけ「相場からかけ離れた高値で出ている物件が増えている」ということを意味します。そういった物件は、買主に「割高」と判断されて問い合わせすら来ない状態になりやすい。成約件数が減っているのは、こうした価格設定のミスマッチも要因の一つです。
一方、中古戸建てはマンションと少し違う動きをしている
同じ「大阪の不動産市場」でも、マンションと戸建てでは動きが異なります。2026年4〜6月期の近畿圏中古戸建てのデータを見てみましょう。
🏢 近畿圏 中古マンション(2026年4〜6月)
価格は上昇、成約件数は2期連続で減少
+9.0%
平均成約価格(3,286万円)成約件数:4,967件 前年比 −4.8%
🏠 近畿圏 中古戸建て(2026年4〜6月)
価格上昇、成約件数も増加で需要は底堅い
+4.2%
平均成約価格(2,427万円)成約件数:3,824件 前年比 +3.2%
中古戸建ては、価格が4.2%上昇しながら成約件数も3.2%増えています。マンションとは対照的に、需要と供給が比較的噛み合っている状態です。
この違いが示すことは明確です。「大阪の不動産市場」とひとくくりにして判断してはいけないということです。マンションか戸建てか、大阪市内か北摂・堺市などのエリアか、築年数・間取り・駅距離など個別の条件によって売れやすさも適正価格もまったく異なります。「価格が上がっているから今売り時」という大雑把な判断ではなく、自分の物件が今の市場でどう評価されるかを具体的に確認することが出発点です。
では、2026年9月から売却するならどうすればよいか
市場の実態を踏まえたうえで、9月から売却を考えている方に向けて、現場で感じている4つのポイントをお伝えします。
「売出価格」ではなく「成約価格」を参考にする
ポータルサイトに掲載されている売出価格はまだ売れていない価格です。同じマンション・同じ駅・近い築年数の「実際の成約事例」を確認することが、適正な売出価格設定の基本です。成約事例は不動産会社のデータベース(レインズ)に蓄積されており、査定時に不動産会社から提示してもらうことができます。
最初から相場と大きくかけ離れた高値にしない
「最初は高く出して、売れなかったら下げればいい」という考え方は一見合理的に見えますが、リスクがあります。新着物件として市場の注目が最も集まる販売開始直後に相場から大きく外れた価格を設定すると、本来購入候補になったはずの買主から「検討対象外」と判断されてしまいます。その後に値下げしても「なぜ下げたのか」という疑問を持たれやすく、成約まで時間がかかります。
販売開始後の問い合わせ・内覧数を指標に価格戦略を修正する
売り出してから2〜3週間で問い合わせや内覧がほとんどない場合は、価格設定に問題がある可能性が高いサインです。成約件数が減っている今の市場では、この判断を早めに行うことが重要です。担当の不動産会社からどれだけの情報が提供されているかを確認しながら進めてください。
「高く売れる可能性を残しながら、買主が検討できる価格帯からスタートする」
大切なのは最初から安く売ることではありません。市場の成約データに基づいた適正価格の範囲内で、かつ買主が「検討できる価格」としてスタートすることで、問い合わせが集まりやすくなります。複数の購入希望者が関心を持つ状況を作ることが、最終的に高値成約につながります。根拠ある価格設定とそこに至るプロセスの説明が、不動産会社の腕の見せ所です。
9月は「売るかどうか」ではなく「価格を確認する」タイミング
ここまで読んでいただいた方に、一つ大切なことをお伝えします。「9月だから今すぐ売った方がいい」という意味ではありません。
ご家族の事情・住宅ローンの残高・相続・住み替えのスケジュール・税金の特例——最適な売却時期はお一人おひとりの状況によってまったく異なります。9月という時期が「売却に向いているか」を一般論で判断することはできません。
ただ、市場が大きく動いている今だからこそ、確認しておく価値があることがあります。「自分の家は現在いくらで売れる可能性があるのか」——この一点です。半年前・1年前に査定を受けた方も、現在の市場価格とは変わっている可能性があります。売るかどうか決める前に「今の価格」を把握しておくことで、家族との話し合い・売却時期の判断・資金計画が具体的に前進します。
✅ 査定=必ず売らなければいけない、ではありません
不動産の査定依頼は「売却の意思表示」ではありません。「今の価格を知る」ための情報収集です。査定を受けた後に「もう少し待とう」「やっぱり売らない」という判断をしてもまったく問題ありません。大切なのは、判断する材料を持っておくことです。

この記事の執筆者
本田 憲司代表取締役資格: 宅地建物取引士
建設関係の現場と長距離トラックドライバーを経て、不動産業界に転身。新築マンション販売の最前線でリーマンショックを乗り越え、念願だった独立を果たして「不動産売却サポート関西」を立ち上げました。27年間で培った問題解決力を武器に、ご所有不動産を「自分自身の大切な資産」と捉え、売主様ご本人に成り代わって売却完了まで伴走することをお約束します。



