地場の不動産仲介業者の業況調査から読み解く!近畿圏の物件動向

1. 最新調査から見る近畿圏の不動産売買
不動産を売却するときは、過去の成約価格だけでなく、 現場の不動産会社が感じている問い合わせ数、売却依頼数、成約数、成約価格の変化も参考になります。 今回は、アットホーム株式会社が公表した 「2026年1~3月期 地場の不動産仲介業における景況感調査」から、 京都府・大阪府・兵庫県の売買市場を読み解きます。
今回の近畿圏の結論
近畿圏の売買業況DIは41.4で、前年並みを示す50を下回りました。 一方、大阪府などでは成約価格DIが50を上回っており、 「価格は高い水準を保つ一方、問い合わせや成約件数は伸びにくい」という傾向が見られます。
景況感調査は将来の価格を保証するものではありません
この調査は、不動産仲介店の営業実感を前年同期と比較したアンケートです。 実際の成約価格や在庫件数を直接集計した価格指数ではなく、 地域・物件種別・価格帯によって実際の動きは異なります。
2. 「地場の不動産仲介業における景況感調査」とは
アットホーム株式会社が、地域に根差して不動産仲介業を行う加盟店を対象に、 居住用不動産流通市場の景気動向を四半期ごとに調査するものです。 2026年1~3月期は第49回の調査で、 全国13都道府県・14エリアの1,913店から回答を得ています。
調査期間
2026年3月12日から3月25日まで実施されました。
調査対象
都道府県知事免許を持ち、5年を超えて仲介業に携わるアットホーム加盟店です。
近畿圏の対象
京都府・大阪府・兵庫県の3エリアが集計されています。
調査内容
業況、問い合わせ数、依頼数、成約期間、成約数、成約価格などを調査しています。
知事免許は営業地域の広さを示すものではありません
宅地建物取引業の免許は、事務所を一つの都道府県だけに置く場合は知事免許、 二つ以上の都道府県に置く場合は国土交通大臣免許となります。 知事免許の会社でも、他府県の物件を取り扱うことは可能です。
3. DIの数字はどう読めばよい?
| DIの水準 | 意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| 50 | 前年同期とおおむね同じ | 市場が好調という意味ではなく「前年並み」 |
| 50を上回る | 前年同期より良い・増えた・上がった | 価格DIと成約数DIでは意味が異なる |
| 50を下回る | 前年同期より悪い・減った・下がった | 取引がなくなったという意味ではない |
たとえば「成約価格DIが50を上回り、成約数DIが50を下回る」場合は、 成約価格が前年より上がったと感じる業者が多い一方、 成約件数は前年より減ったと感じる業者が多い状況を示します。
DIは一つの数字だけで判断しない
業況、問い合わせ数、売却依頼数、成約期間、成約数、成約価格を組み合わせることで、 価格が上がっているのか、買主が減っているのか、売却に時間がかかっているのかを読み解きます。
4. 2026年1~3月期の近畿圏は業況DI41.4
近畿圏の売買業況DIは41.4となり、 前期から2.7ポイント、前年同期から0.7ポイント低下しました。 次期の見通しDIは39.9で、調査時点では慎重な見方が示されています。
| 地域 | 2025年10~12月期 | 2026年1~3月期 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 京都府 | 50.5 | 42.9 | -7.6ポイント |
| 大阪府 | 42.9 | 41.1 | -1.8ポイント |
| 兵庫県 | 42.0 | 41.3 | -0.7ポイント |
| 近畿圏全体 | 44.1 | 41.4 | -2.7ポイント |
近畿圏全体のDIだけで個別物件を判断しない
大阪市中心部のマンション、郊外の戸建て、収益物件、相続した空き家では、 購入する人と価格の決まり方が異なります。 府県全体の数字は方向感をつかむ材料として利用してください。
\ 最新の市場データと近隣成約事例を組み合わせて査定 /
近畿圏の全体傾向ではなく、物件ごとの売れ方を確認します
同じ地域・物件種別・築年数・価格帯の販売状況から、現実的な売却戦略をご提案します。
5. 大阪府は「価格が高い一方、成約数は弱い」
大阪府の売買業況DIは41.1で、前年並みの50を下回りました。 問い合わせ数DIは37.4、成約数DIは39.1と低い一方、 成約価格DIは54.5で50を上回っています。
| 調査項目 | 2025年10~12月期 | 2026年1~3月期 | 読み取れる傾向 |
|---|---|---|---|
| 業況 | 42.9 | 41.1 | 全体の営業実感は前年より弱い |
| 問い合わせ数 | 35.2 | 37.4 | 前期より改善したが50を下回る |
| 売却依頼数 | 42.5 | 43.1 | 売却物件の供給は前年より少ない実感 |
| 成約期間 | 40.3 | 41.6 | 前年より長期化したとの回答が多い |
| 成約数 | 39.5 | 39.1 | 取引件数は伸びにくい |
| 成約価格 | 59.7 | 54.5 | 上昇感は残るが前期より鈍化 |
大阪の売主様が注意したいこと
成約価格DIが高いからといって、売出価格を上げれば必ず売れるわけではありません。 問い合わせ数と成約数が弱い局面では、 買主の予算に合わない物件が長期間売れ残る可能性があります。
6. 京都府・兵庫県の動向
京都府
業況DI42.9、前期から大きく低下
問い合わせ数DIは37.5、成約数DIは44.0でした。 成約価格DIは54.2と50を上回っていますが、 問い合わせ・依頼・成約期間の各DIは50を下回っています。
兵庫県
業況DI41.3、前期比ではほぼ横ばい
売却依頼数DIは46.9まで上昇し、成約数DIも40.3へ改善しました。 一方、成約価格DIは50.9で前年並みに近く、 地域や価格帯による差が大きい状況と考えられます。
| 地域 | 問い合わせ数 | 売却依頼数 | 成約数 | 成約価格 |
|---|---|---|---|---|
| 京都府 | 37.5 | 39.9 | 44.0 | 54.2 |
| 兵庫県 | 37.5 | 46.9 | 40.3 | 50.9 |
7. 物件価格の上昇で「新築から中古」「購入から賃貸」へ
最新調査では、近畿圏の不動産会社から、 新築住宅の価格上昇を受けて中古住宅を選ぶ中間所得層が増えたという声や、 住宅購入を見送り賃貸を選ぶ動きがあるという声が寄せられています。
新築から中古住宅へ需要が移る
新築価格が予算を超える買主にとって、 立地や広さを確保できる中古マンション・戸建てが選択肢になります。
購入自体を見送り、賃貸を選ぶ
物件価格、住宅ローン金利、生活費の負担から、 購入時期を先送りする世帯もあります。
高い売出価格への反応が鈍くなる
買主が比較できる物件が増えると、 相場より高い物件は閲覧されても問い合わせにつながらない場合があります。
状態の良い中古物件が評価される
新築より価格を抑えながら、 すぐに住める物件や管理状態の良い物件は選ばれやすくなります。
中古需要の増加がすべての中古物件に追い風とは限りません
買主は物件価格だけでなく、リフォーム費用、管理費、修繕積立金、 住宅ローン返済額を含む総予算で比較します。 設備状態や将来負担を正確に伝えることが必要です。
8. 調査結果を売却活動へ活かす7つの方法
高値を試す価格と、実際に成約が期待できる価格を分けて説明してもらいます。
同じ地域だけでなく、買主が比較する隣接駅・隣接市の物件も確認します。
物件価格に加え、リフォーム、管理費、修繕積立金、諸費用まで説明します。
写真、清掃、ホームステージング、設備履歴、管理状態を分かりやすく伝えます。
閲覧数、資料請求、内見件数を確認し、広告・価格・条件のどこに問題があるかを判断します。
反響がないまま長期間放置せず、何週間後に何を基準として見直すか決めておきます。
府県全体の数字だけでなく、町名・マンション・物件種別ごとの需要を説明できる会社を選びます。
\ 価格が上がっている時期ほど「売れる価格」の見極めが重要 /
問い合わせ・内見・成約データから販売方法を調整
高値を目指しながら、長期化を防ぐための価格と広告の見直し基準を設定します。
9. 不動産売却サポート関西の市場分析
不動産売却サポート関西株式会社では、 公表されている市場調査だけでなく、 レインズの成約事例、現在販売中の競合物件、他社からの問い合わせ、 広告閲覧数、内見者の評価を組み合わせて売却戦略を見直します。
ANALYSIS 01
近隣の成約事例を確認
実際に売れた価格と期間から、査定価格の根拠をご説明します。
ANALYSIS 02
現在の競合物件を比較
買主から見て、価格・広さ・築年数・駅距離がどう比較されるかを整理します。
ANALYSIS 03
販売中の反響を数字で共有
広告閲覧、問い合わせ、内見、他社反響を確認し、改善へつなげます。
ANALYSIS 04
片手仲介を原則に情報公開
他社の購入希望者にも物件情報を届け、買主候補を自社だけに限定しません。
10. まとめ|近畿圏は「高値維持」と「取引の鈍さ」が同時に見られる
2026年1~3月期の近畿圏の売買業況DIは41.4で、 京都府・大阪府・兵庫県はいずれも50を下回りました。 調査時点では、仲介現場の営業実感は前年並みより弱い状態です。
一方、大阪府の成約価格DIは54.5、京都府は54.2、兵庫県は50.9で、 価格は前年同期と同程度以上と感じる業者が多くなっています。 価格が高いから市場が好調とは限らず、 問い合わせ数・成約数・成約期間も合わせて見る必要があります。
売主様にとって大切なのは、府県全体の数字だけで売却を急いだり待ったりするのではなく、 同じ地域・物件種別・価格帯の実際の反響を確認することです。 高値を目指す場合も、買主の予算と競合物件を踏まえ、 反響が弱いときに早く修正できる販売計画を立てましょう。
よくあるご質問
業況DIが50を下回ると不動産価格は下がりますか?
この調査だけで売却時期を決めてもよいですか?
成約価格DIが高ければ、高い査定額の会社を選ぶべきですか?
大阪では中古住宅が売れやすくなっていますか?
知事免許の会社は他府県の物件を扱えませんか?
売り出した後はどの数字を確認すればよいですか?
参考資料
- アットホーム株式会社「2026年1~3月期 地場の不動産仲介業における景況感調査」
- アットホーム株式会社「景況感調査 詳細資料」
- 国土交通省「宅地建物取引の免許について」
- 不動産売却サポート関西「売却戦略・情報拡散」
※本記事は2026年7月時点で公表されている、 アットホーム株式会社の2026年1~3月期調査をもとに作成しています。 DIは不動産仲介店の前年同期比に対する営業実感を指数化したものであり、 個別物件の成約価格や今後の市場動向を保証するものではありません。
