京都市の「空き家税」は2029年度開始へ|対象・税額と大阪の空き家所有者への影響

1. 京都市の「空き家税」は2029年度開始へ|全国初の本格導入
京都市が全国で初めて条例化した空き家への独自課税「非居住住宅利活用促進税」(通称:空き家税)は、2029年度からの課税開始が予定されています。2022年3月に条例が市議会で可決され、2023年3月に総務大臣の同意を得て導入が確定していましたが、課税に必要なシステムの開発・移行に時間がかかるとして、当初想定の「2026年以降」から開始時期が繰り下げられました。
📌 京都市・非居住住宅利活用促進税の概要(2026年8月時点の公表情報)
・対象:市街化区域内にある「居住者のいない住宅」(空き家・別荘・セカンドハウスなど)
・課税開始:2029年度(2029年1月1日時点の利用状況で判定される見込み)
・税額:家屋の固定資産税評価額の0.7%を基本に、立地等に応じた加算がある仕組み。毎年の固定資産税に上乗せされるイメージ
・免除・経過措置:事業に使われている家屋は対象外。評価額が低い家屋への免除措置(導入当初5年間は評価額100万円未満が対象外、その後は20万円未満に縮小)も設けられている
ポイントは、これが「一度きりの罰金」ではなく保有している限り毎年かかり続ける税だということです。使っていない住宅を持ち続けるコストが、固定資産税・都市計画税に加えてもう一段上がることになります。
2. 「京都だけの話」ではない:大阪でも進む空き家への課税強化
京都市の空き家税は法定外税(自治体が独自に設ける税)ですが、同じ発想の動きはすでに関西圏に広がっています。大阪府の寝屋川市では全国2例目となる「空き家流通促進税」の条例が成立しており、放置空き家に課税して市場への流通を促す仕組みづくりが進んでいます(詳細は寝屋川市の空き家税の解説記事をご覧ください)。
さらに、独自課税がない自治体でも、空き家の保有コストが上がる仕組みはすでに全国で動いています。
⚠️ 独自課税がなくても起きる「実質増税」
・改正空家対策特別措置法により、倒壊等のおそれがある「特定空家」だけでなく、その予備軍である「管理不全空き家」も勧告を受けると住宅用地特例(固定資産税の軽減)の対象から外れるようになった
・住宅用地特例が外れると、土地の固定資産税は最大で約6倍になり得る
・相続登記の義務化(2024年4月〜)により、「名義をそのままにして放置」も過料の対象になった
つまり方向性は全国共通で、「使っていない家を持ち続けるほど損をする」制度環境に急速に変わりつつあるということです。京都市の2029年度開始はその象徴であり、他都市が追随する際のモデルケースとして注視されています。
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3. 空き家所有者が取れる選択肢は4つ
保有コストと管理の手間から完全に解放される選択肢。相続した空き家なら、要件を満たせば譲渡所得の3,000万円特別控除(適用期限あり)が使える場合があります。古い家屋でも「古家付き土地」として売れるケースは多くあります。
人が住んでいれば「非居住住宅」ではなくなるため、京都市型の空き家税の考え方では課税対象から外れます。ただし築古住宅は修繕費・入居者募集のハードルが高く、賃料収入とコストの試算が必須です。
セカンドハウスとしての利用は、京都市の制度では課税対象に含まれ得る点に注意が必要です(居住実態の有無で判定)。
最も割高になりやすい選択肢です。
固定資産税・維持管理費に加え、制度環境の変化で負担が増える方向にあります。建物の劣化で売却価格も年々下がっていくため、「いつか考える」の先送りはコストになります(空き家の維持費の試算記事も参考にしてください)。
4. 売却を考えるなら「制度の期限」から逆算する
空き家の売却では、値動きよりも税制の期限が意思決定を左右することが少なくありません。
| 期限・時期 | 内容 |
|---|---|
| 2027年3月31日 | 相続登記義務化の猶予期限(2024年4月より前に相続した未登記不動産)。正当な理由なく放置すると10万円以下の過料の対象 |
| 2027年12月31日 | 相続した空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の適用期限(現行法)。相続開始から3年を経過する年の年末という個別期限もある |
| 2029年度 | 京都市の非居住住宅利活用促進税が課税開始予定(2029年1月1日の利用状況で判定される見込み) |
特に相続した空き家をお持ちの方は、控除の期限が「物件ごとに」異なります。ご自身の期限がいつなのかを先に確認し、そこから売却スケジュールを逆算するのが失敗しない進め方です。
よくあるご質問
大阪市など他の自治体でも空き家税は導入されますか?
2026年8月時点で大阪市に同種の独自課税の予定は公表されていません。ただし管理不全空き家への住宅用地特例の解除(固定資産税が実質最大6倍)は全国の自治体で運用が始まっており、独自課税の有無にかかわらず放置のコストは上がる方向です。
京都市に空き家を持っています。2029年までに何をすべきですか?
課税は利用状況で判定される見込みのため、①売却する ②賃貸に出す ③居住実態をつくる、のいずれかを2029年より前に済ませておくのが確実です。売却には準備期間(相続登記・残置物整理・売り出し〜成約で数ヶ月)が必要なので、逆算すると検討開始は早いに越したことはありません。
建物が古すぎて売れないと思うのですが…
築年数が古くても「古家付き土地」として土地値で売却できるケースは多くあります。解体して更地にすべきかどうかは、エリアの需要と解体費用・固定資産税への影響を比較して判断します。当社では両パターンの手取り試算を無料でお出しできます。
まとめ:空き家は「制度が動く前」に方針を決める
京都市の空き家税は2029年度開始予定と時間があるように見えますが、判定は2029年1月1日の利用状況で行われる見込みで、売却や賃貸には準備期間が必要です。また、相続登記義務化の猶予期限(2027年3月末)や相続空き家の3,000万円控除の期限(現行法で2027年末)など、それより早く到来する期限もあります。空き家をお持ちの方は、まず「いま売るといくらか」「持ち続けると年いくらかかるか」の2つの数字を把握するところから始めてください。
※本記事の制度内容・開始時期は2026年8月時点の公表情報にもとづきます。制度の詳細・最新情報は京都市・各自治体の公式情報および税理士等の専門家にご確認ください。

この記事の執筆者
本田 憲司代表取締役資格: 宅地建物取引士
建設関係の現場と長距離トラックドライバーを経て、不動産業界に転身。新築マンション販売の最前線でリーマンショックを乗り越え、念願だった独立を果たして「不動産売却サポート関西」を立ち上げました。27年間で培った問題解決力を武器に、ご所有不動産を「自分自身の大切な資産」と捉え、売主様ご本人に成り代わって売却完了まで伴走することをお約束します。


